腸内フローラ 健康に深く関与

腸内フローラと研究

 

腸内環境と健康の密生な関係 
 
腸内細菌の研究が進み、腸内フローラについて様々なことが明らかになってきました。
 
特に腸内フローラと心身の健康は深い関係にありますので、当サイトでは研究で明らかにされた腸内フローラをご紹介します。

 

腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)とは人の腸内に生息している細菌の集合体のことです。

 

「腸内細菌叢」の「叢」は、「群がり集まる」や「多くのものの集まり」という意味があります。

 

「フローラ」とは植物群を意味する言葉ですが分類学上では以前は植物の中に細菌が分類されていたため、その名残といえます。

 

また、ローマ神話に登場する花と春とほうじょうをつかさる女神フローラと同じ名前です。

 

近年この腸内フローラの研究が大きくに進み心と体の両面の健康に密接に関わっていることが解明されてきました。

 

お肌の状態や肥満、糖尿病やがん、うつ病までも腸内フローラが影響していると考えられています。

 

そして腸内フローラに秘められたパワーが最新の医療に取り入れられつつあります。

 

平成27年2月にNHKスペシャルで放送された「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」では腸内フローラの驚くべき事実が明らかにされました。

 

次世代シーケンサーの開発により、腸内には無数の細菌が住みついていて人のふん便の約半分は腸内細菌、重さにして1kgから2kgもあるそうです。

 

 

 
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マウスを使った肥満に関する実験

 

肥満の人の腸内フローラをマウスに移植すると脂肪太りになり、痩せた人の腸内フローラを移植すると体重に変化がみられなかったそうです。同じことを何度行っても同じ結果になったと報告しています。

 

マウスで行ったことを人と人の間で行えば肥満の人もやせられる可能性があることが示唆されたといえます。

 

海外では便微生物移植が行われています。
 
糞便移植で感染症を治す最新治療 

 

欧米では不足している細菌を人口的に移植する研究が進んでいます。例えば肥満の人の腸内フローラにはない細菌を痩せた人からもらって注入するのです。

 

肥満は様々な生活習慣病との関連があり健康に悪い影響を及ぼします。

 

肥満に関連がある腸内細菌としてバクテロイデスが作り出す短鎖脂肪酸が脂肪の取り込みを抑えることが解明されています。

 

 腸内細菌が産生する「エクオール」はシワを防止する

 

シワを防ぐ物質エクオールを生成する腸内細菌が15種類発見されています。

 

エクオールはお肌の年齢を若く保つ作用があることがわかっています。

 

エクオールは、繊維芽細胞の働きを活性化してシワを防止すると考えられています。

 

また、エクオールには女性の更年期障害の一つである顔のほてりと骨密度の低下を抑える作用があることが解明されています。

 

このエクオールを増やすためにはエクオールを産生する腸内細菌にエサを与える必要があります。

 

エサになる食べ物は、食物繊維の中でも豆腐や納豆などの大豆食品です。

 

しかし、日本人の約半数はこのエクオールを産生する細菌を持っていません。

 

持っていない人は大豆製品を食べてもエクオールを産生することが出来ません。

 

人工的にエクオールを作り出すことに成功してサプリメントとして商品化されています。

 

 

 
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腸内フローラを増やして糖尿病を改善

 

米国のベンチャー企業では、腸内フローラで糖尿病を治療する研究が進んでいます。

 

糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンの分泌が悪く血糖値が上昇する疾患ですが、このインスリンの分泌に腸内フローラがつくる短鎖脂肪酸が関係している事が分かってきました。

 

短鎖脂肪酸が減少するとインスリンの分泌が減ってしまうのです。

 

そこで短鎖脂肪酸をつくる腸内細菌を増やす研究が進んでいます。

 

腸内細菌を増やすために食物繊維を配合した薬の開発です。

 

臨床試験では開発した薬を患者に飲ませて短鎖脂肪酸を生成する細菌を増やす試みがなされています。

 

薬を飲んだ一週間後に食事の後のインスリンの量の違いを調べた結果、細菌を増やす薬を飲んだ患者はインスリンの分泌量が増加したと報告しています。

 

現在の医学では糖尿病を治す事はできませんが腸内細菌を利用することで新たな治療法が発見され糖尿病患者にとって希望が持てるようになってきました。

 

ガンの予防にも腸内フローラの可能性

 

がん研究会有明病院(通称:がん研)では健康診断に来た方の便を採取して腸内フローラを調べる研究がなされています。

 

研究の結果、がんを引き起こす腸内細菌が発見されています。

 

遺伝子解析の結果、新種の細菌であることが分かり有明菌と名付けられています。

 

有明菌が出すDCAという物質がガンの原因となっていることが分かりました。

 

DCAは人の細胞に作用して老化を促進させる事が解明されています。

 

老化した細胞は発がん物質をまき散らし周囲にガンを作ります。

 

現在、世界で最も注目を集めている研究のひとつです。

 

 

 
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有明菌は肥満になると増えて生活習慣病を引き起こす

 

この有明菌は、肥満になると大幅に増える事も分かってきました。

 

研究の結果、前立腺ガン、乳ガン、大腸ガン、肝臓ガンと深い関係がある事も明らかにされています。

 

つまり、この有明菌をコントロールできれば、がんの予防ができることになります。

 

予防に関連する食べ物の研究が進んでいるようです。

 

肥満の方にがんが多い原因が分かったのです。

 

特に太っている女性に大腸がんが多いという報告があります。

 

また、ナッツ菌は前立腺ガンを予防する働きがあることが分かっています。

 

ガンになってから治療すると長い期間と多額の治療費用がかかるので普段の健康を維持するためには予防が大切です。

 

原因が分からない病気がたくさんありますが多くの疾患に腸内フローラが関係している可能性があると考えられています。

 

今後、さらに健康や病気と腸内フローラの関係が明らかになれば、治療法や予防法が解明されるでしょう。

 

腸内フローラには治療ステージが飛躍的に上昇する可能性が秘められています。

 

 

 
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便微生物移植で劇的に症状が改善

 

年間1万人以上が亡くなっているディフィシル菌による疾患は米国で発見されています。

 

正常な腸内フローラが、かくらんされた結果、ディフィシル菌が増殖してトキシンが産生されることで症状を発する疾患です。

 

「便微生物移植」といわれる新しい治療方法で劇的に改善しています。

 

日本でも既に慶應大学病院で臨床試験として行われています。糞便の提供者は配偶者か2親等以内の家族に限定して便微生物移植が行われています。

 

便微生物移植の方法は健康な人の便を生理食塩水約100CCと混ぜてフィルターでろ過した液体を注射器に入れ内視鏡で患者の大腸に注入する方法です。

 

便は、わずか1gの中に乳酸菌飲料1本分の数百倍もの細菌が含まれています。腸内フローラを悪玉菌優位から善玉菌優位に効率よく切り替えることが可能になります。

 

この便微生物移植は欧米では研究が進んでおり難治性感染症の患者約40人を従来の薬による治療と便移植とに分けて経過をみたところ薬では20〜30%しか治らなかったのに対し便移植では94%に効果があったと報告しています。

 

健康な方の腸内フローラの集団を患者の腸内に入れる腸内フローラ移植です。

 

マウスを使った性格に関する研究

 

腸内フローラが性格にも関係している事が明らかになりました。

 

これまでは性格は遺伝子の違いによると考えられてきました。

 

しかし、腸内フローラにも違いがあることが発見され性格に影響していると結論づけられました。

 

実験では臆病なマウスの腸内フローラを活発なマウスに、活発なマウスの腸内フローラを臆病なマウスに、それぞれ注入して3週間様子を観察した結果、臆病マウスは活発になり、活発マウスは臆病になりました。

 

腸内フローラを入れ替えたら性格も入れ替わってしまったのです。

 

何度も同じ実験を繰り返しましたが同じ結果が得られたため腸内フローラが影響していると結論づけられています。

 

コミュニケーション能力にも腸内フローラが影響

 

マウスは超音波で会話する能力があるそうです。

 

コミュニケーション能力が低いマウスの血中の物質「4EPS」を取り除いたら、マウスの呼びかけ頻度が大幅に改善されコミュニケーションが増したそうです。

 

研究者は心の病に腸内フローラを使った治療の可能性が広がると述べています。

 

人類は長い歴史の中で自然界にある70グループの細菌群から体に良い効果をもたらす「4グループの細菌」を選び引き継いできたと言われています。

 

お腹の胎児は無菌状態ですが出産時に産道で初めて母体の細菌と接触して細菌を保有することが分かっています。

 

また、出産後にさまさまな細菌に接触して自分に必要な菌を選び体に住み着かせる事が分かっています。

 

 

 
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腸内フローラを選ぶIgA抗体(免疫グロブリンA抗体)

 

免疫グロブリンの一種である「IgA抗体」は体に入ってきた細菌を攻撃して殺す役割を担っています。

 

また、逆にIgA抗体が張り付いて腸内フローラを守る働きもしています。

 

IgA抗体は人の体に必要な細菌を住み着かせる働きも持っています。

 

細菌が腸に住み着くのはそう簡単ではないようです。

 

腸の壁には、わずか1ミリの粘液層があり、この部分に入り込まないと流され腸内にとどまることができません。

 

また、この粘液層は、ねばりけが強く簡単に中に入ることが出来ません。

 

この粘液層には、この「IgA抗体」に選ばれた細菌しか入ることが出来ない事が分かってきました。

 

その仕組みは、腸壁からIgA抗体が沸き上がり選ばれた細菌に張り付いて粘液層の中に引き込んでいきます。

 

IgA抗体がどの細菌を選ぶかは人類の歴史の中で長い時間をかけて決められてきたといいます。

 

腸内フローラは人と共に生きているといえます。

 

この粘液層に入った細菌は腸内フローラの中で長く生き続けることが可能になります。

 

何百万年の期間を経て人類の歴史の中で作られてきた腸内フローラが近年の抗生物質などの薬物や食べ物の影響で変わりつつあると危惧されています。

 

腸内フローラと健康や病気との関連が次々に明らかにされていますが、近年の食生活や医科学的な研究で作られた薬が腸内フローラのバランスを崩し健康を害し生活習慣病などの疾患の増加につながっているという専門家が増えてきました。
 
腸内環境を改善する食習慣を意識して病気にかかりにくい体質にして頂きたいと願っています。

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